【相続税対策】高齢になってからでも可能?保険や贈与より有効な手段とは
もう手遅れと諦めていませんか?
「親が80歳を過ぎてから、相続税対策なんて今さら無理でしょう・・・」
そんな声をよく耳にします。
確かに、相続税対策の多くは早期着手が原則です。
しかし高齢になってからでも、十分に効果を発揮する対策は存在します。
本コラムでは、高齢なご両親を持つ方に向けて、
生命保険・贈与の限界とそれ以上に有効な手段を、実務的な視点から解説します。
高齢になってからの保険・贈与は本当に有効か?
1.生命保険のメリットと限界
生命保険は500万円 × 法定相続人の数までが非課税となるため、
相続税対策として広く活用されています。
【生命保険のメリット】
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死亡保険金の非課税枠を活用できる
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受取人を指定できるため、遺産分割を円滑化
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一時払い終身保険なら80 ~ 90歳でも加入可能
【高齢者加入のデメリット】
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デメリット |
内容 |
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① 保険料の高額化 |
年齢が上がるほど、保険料が割高になり費用対効果が低下。 |
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① 保険料の高額化 |
持病があると加入自体が困難。 |
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③ 短期間での解約リスク |
加入直後に相続が発生すると、払込保険料と受取額がほぼ同額となり節税効果が薄い。 |
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④ 受取人の制限 |
相続人以外が受け取ると非課税枠が使えない。 |
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80歳以上の一時払い終身保険は納税資金の確保としては有効ですが、 純粋な節税効果は限定的です。 |
2.生前贈与の2024年改正による影響
【改正のポイント】
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項目 |
改正前 |
改正後(2024年1月~) |
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暦年贈与の持ち戻し期間 |
相続開始前3年 |
相続開始前7年(段階的延長) |
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相続時精算課税の基礎控除 |
なし |
年間110万円の基礎控除新設 |
【高齢な親から贈与への影響】
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暦年贈与は7年以内に相続が発生すると相続財産に加算される
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高齢になるほど「7年間持つかどうか」が不確実になる
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相続時精算課税は年110万円まで非課税だが、それを超えると全額相続時に加算
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「もう80歳だから贈与しても意味がない」と考えがちですが、 孫への贈与は生前贈与加算の対象外(孫が相続人でない場合)であるため、 依然として有効な選択肢です。 |
高齢な親でも効果的な「3つの相続税対策」
1.小規模宅地等の特例を最大限活用する
【制度概要】
被相続人の居住用・事業用・賃貸用の宅地について、
相続税評価額を最大80%減額できる強力な特例です。
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区分 |
適用面積 |
減額割合 |
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特定居住用宅地等 |
330㎡まで |
80%減 |
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特定事業用宅地等 |
400㎡まで |
80%減 |
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貸付事業用宅地等 |
200㎡まで |
50%減 |
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【具体例:評価額1億円の自宅土地の場合】 ■ 特例なし:1億円 → 相続税の課税対象 ■ 特例適用:1億円 × 20% = 2,000万円 → 8,000万円の評価減 |
【高齢な親でも可能な対策】
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同居要件の確認 – 子が同居している場合、特例が使える可能性大
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二世帯住宅の検討 – 区分所有登記でなければ特例適用可能
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配偶者居住権の活用 – 1次相続で配偶者が取得し、2次相続で特例を適用
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この特例は生前の準備がほとんど不要で、相続発生時に適用要件を満たしていればOK。 高齢になってからでも十分に活用できる最強の節税策です。 |
2.家族信託で「財産凍結リスク」を回避しながら対策する
家族信託とは、親が認知症になる前に、信頼できる家族に財産の管理・処分権限を託す仕組みです。
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方法 |
親が認知症になったら |
柔軟性 |
費用 |
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成年後見制度 |
申立てにより対応可能 |
低い(裁判所の許可が必要) |
高い(継続費用) |
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生前贈与 |
贈与できない |
なし |
贈与税 |
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家族信託 |
契約時に判断能力があればOK |
高い(柔軟に管理・処分可能) |
初期費用のみ |
【家族信託の活用例】
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親(委託者兼受益者)が、子(受託者)に不動産管理を委託
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親が認知症になっても、子が不動産を売却して介護費用に充てられる
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親の生存中は親が受益者として利益を受け取る
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家族信託自体には直接的な節税効果はありませんが、 資産凍結を防ぎながら、他の相続税対策を実行できる環境を作るという点で、 高齢な親の相続対策における土台となります。 |
3.特例制度を活用した「目的別贈与」
高齢な親からでも活用できる、用途限定の非課税贈与制度があります。
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制度 |
非課税枠 |
対象年齢 |
用途 |
期限 |
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住宅取得資金贈与 |
最大1,000万円 |
18歳以上 |
住宅の取得・増改築 |
2026年12月31日まで |
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教育資金一括贈与 |
最大1,500万円 |
30歳未満 |
学費・教育関連費用 |
2026年3月31日まで |
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結婚・子育て資金贈与 |
最大1,000万円(結婚費用は300万円) |
18歳以上50歳未満 |
結婚・出産・育児費用 |
2025年3月31日まで |
【活用のポイント】
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暦年贈与と併用可能(ただし合計額に注意)
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金融機関への口座開設と専用手続きが必要
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贈与者が死亡した場合、残額は相続税の課税対象となるケースあり
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高齢な親が孫の教育費を援助したいといったニーズがある場合、 これらの特例を活用することで、通常の贈与よりも大きな非課税枠を確保できます。 |
今からでも間に合うための実務的チェックリスト
高齢な親の相続税対策を始めるにあたり、まず確認すべき項目を整理します。
✅ STEP1:現状把握
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親の財産総額を把握する(不動産・金融資産・保険など)
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相続税の基礎控除額を計算する(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)
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相続税の試算を行う(概算でOK)
✅ STEP2:優先度の高い対策から実行
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小規模宅地等の特例の要件確認(同居・事業継続など)
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家族信託の検討(認知症リスクがある場合は早急に)
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孫への贈与の検討(生前贈与加算の対象外)
✅ STEP3:長期的な視点で設計
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1次相続・2次相続をトータルで考える
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遺言書の作成(遺産分割トラブル防止)
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定期的な見直し(税制改正・家族状況の変化に対応)
「手遅れ」と思わせないために、専門家の活用を
高齢な親の相続税対策は、時間がないからこそ、的確な優先順位づけが必要です。
【専門家に相談すべきケース】
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親が75歳以上で、相続税が発生する見込みがある
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不動産が複数あり、小規模宅地等の特例の適用関係が複雑
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親に認知症の兆候があり、財産凍結リスクがある
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兄弟間で意見が分かれており、トラブルが予想される
当社では、税理士・弁護士・司法書士・不動産鑑定士といった各分野の専門家と連携し、
時間がない中でも最大限の効果を出すオーダーメイドの相続対策をご提案しています。
高齢な親でも、諦めるのはまだ早い
「もう80歳だから、相続税対策は無理」──そう思い込んでいる方は少なくありません。
しかし、本当に効果的な対策は、年齢に左右されないものも多いのです。
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小規模宅地等の特例 → 相続時に要件を満たせば最大80%減額
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家族信託 → 認知症による資産凍結を防ぎ、柔軟な財産管理を実現
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孫への贈与 → 生前贈与加算の対象外で節税効果を維持
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大切なのは、「限られた時間の中で、何を優先すべきか」を見極めること。
当社は、高齢なご両親を持つご家族に寄り添い、今からでも間に合う最適な相続税対策をご提案いたします。


